UDLR Log

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monoLR - Monoral Techno CD

 

01 Monochrome

02 Around

03 Blue

04 Invasion

05 Street

06 Cloud

07 Down

08 独立不覊

(2018年作品)

 

概要

6/3(日)の大阪で開催された関西の同人音楽イベント音けっとにて販売されたCD作品。8曲で65分。ジャンルは主にテクノ。

 

普段のUDLRとは違う名義でモノラルテクノを作ろうという構想自体は去年からあって、自由人になった今年から少しずつ試みていた。そんな中で4月に音けっとの存在・開催を知り、それに合わせる形で具体的な制作に動いた。1-2ヶ月の期間があれば何か企画とかできただろうが、他人を巻き込む事はできず結局単独制作にした。

 

曲の制作順は4→1→2→3→6→5→7→8。基本的には制作した順に配置しつつ少し調整した。4曲目が最初の制作になったのは、その時はこの作品を想定したものではなく、たまたまUDLRとして作っていたのを、後になってこのコンセプトに合うと思って合流させたからである。

 

制作当初の曲名は「monoral techno 01」などとシンプルにするつもりだったが、6曲目が出来てそれを聴きながら「Cloudという曲タイトルにしたら面白いんじゃないか」と考えた事から「英単語1つ」という今作の曲名の法則に繋がる(最終曲除く)。それと同時に、「UDLR - Monochrome EP」という感じに考えていたタイトルを変更し、monoLRの名義などの方針も固めていった。

 

UDLR , Dr.ULに続く僕の名義となったmonoLR。「なんとかLR」という感じで命名時は深く考えなかったが、UDLRの関連名義としてイメージしやすい事や「モノラルなのにステレオ(LR)が付いている」という相反的な要素など、シンプルだけど面白い名前にできたと思う。今後もこの名前は大切にしたい。

 

モノラルという音楽的な制限のテクノは、派手さはなく地味だが奥深い方向性ができるんじゃないか、と今回の僕は考えている。その辺はジャケットなどのデザインにも反映したが、とりあえず後述にして曲紹介する。

 

曲紹介

 01 Monochrome

今作の想定をし始めてから一番最初に作った曲。当初想定し最終的なジャケットの雰囲気に近いイメージが早めに表現できたのは良かったと思う。タイトルもそのイメージ通り。制作が進むにつれて後半の曲制作や調整はスムーズになったと思うが、その分初期のこの曲と次の曲などの調整に苦労し、ミックスとマスタリングそれぞれの決定はこの曲が最後になった。

 

02 Around

制作順はMonochrome→Aroundとなっているが、実際には間にボツになった曲を挟んでいる。多分それらの中間の内容だったはず。それもあってか、Monochromeが地味めだったからか、この曲の制作はその反動で少し手数を増やし活発的な感じを意識したかもしれない。その分調整に苦労したが。タイトルはうまく表現できないが街中を歩いている感じから。

 

03 Blue

宵闇レコーズの企画​ァシッドハゥス vol.01で参加した曲。企画名に合わせてアシッドなテクノを意識している。10分になっているのはフィルター操作をじっくりしすぎたためで、個人的には終盤のじっくり感が好き。1曲目と2曲目と違ったジャンルの方向性にする事でその後の制作がやりやすくなったと思う。タイトルはメロディの色、あと中間で救急車の音色っぽい聞こえが出てくることから「青ざめた」感じも含んでいる。

 

04 Invasion

唯一のドラムンベース。ジャンルは大きく違うが、UDLR作品の中では準レギュラー的ジャンルで、アルバム的にも変化球的な位置付けである。
前述の通り、この曲は今作を作る前から存在しており、後からこの曲の雰囲気と今作のコンセプトが合っていたので合流させた。そのため当初はステレオ音源も含んでいたが、いずれもモノラル音源に変えることができた。タイトルは「日常の場面から不穏な物体が現れる」感じをイメージし、それを含んだ「侵略」という単語から。

 

05 Street

制作後半の曲で、この頃になると制作もスムーズになり、シンプルに仕上げることができるようになってきた。調整回数が少なめで完成までできたのでその点で僕も気に入っている曲。タイトルはアルバムの中では一番街中を歩いている感じがあってCloud同様「こういうタイトルだったら面白い」と思って名付けた。

 

06 Cloud

前述の通りアルバムの方向性を固めるきっかけの一つの曲。中盤の部分から、不穏,モクモクな感じ,ビルの屋上からみた交差点を早回した感じ、などをイメージし、「Cloudというタイトルだったら面白い」と思って、曲にタイトルをつけたくなった。調整は前半曲同様苦労した。

 

07 Down

制作終盤のこの頃からさらに趣向が異なり、気分的にもアルバム構成的にも4つ打ちを避ける流れを作りたくなった。まずメロディを作ってから、手で叩いたキックを調整するという手法で、マウスで試すのとは違うノリが出来たのではないかと思う。タイトルは「午後の都会の日常の街の中で疲れを感じる」という複雑な意図を込めようとしたが、全部は表現できず、少し含む感じで落ち着いた。

 

08 独立不覊

どくりつふきと読みます。知らないとわからない四字熟語なので、なるべく読める配慮はしたかったが、デザイン的に結局カットしたので、せめてここで説明しておく。意味はこの辺を参照だが、要するに「誰の力も借りず一人で実行する」意思を改めて表明する形を示している。
で、曲の方はBPM132を半分の表記にしてもいいような、緩いけど重さがあるビートで、暗い雰囲気を歩く感じ。この辺のストイック感が武士っぽく感じたので、これまでの曲タイトルの法則ではない四字熟語のタイトルにしようと思った。その四字熟語を何にしようか色々調べ悩んだ結果が、独立不羈。
もし今後monoLRのアルバムを作るのであれば、「最後の曲のタイトルは四字熟語」という法則になるだろう。

 

デザイン

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1枚目→ 表ジャケット

2枚目→ 裏ジャケット

3枚目→ ディスク盤面

 

早い段階でモノクロのイメージを想定していたこともあり、大まかな雰囲気はすぐにできたが、そこから最終形に持って行くのは多少の試行錯誤はあった。

モノラルということをジャケットでも表現したいので、左右の広がりをイメージするようなデザインを避けたかった。それで真ん中に文字情報とイメージを集める形だが、それをそのまま表現すると、ジャケットとしての面白みを感じなくなる。その辺のバランスが難しく、一度は形にしたデザインをやり直した部分もある。

 

以下は修正前の表ジャケット。

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この修正前と完成形の比較を中心に説明していくと、

修正前は事前に想定していた「真ん中にイメージと文字情報を並べた」イメージを自分なりに再現したものだが、一方で真ん中の存在感がやや強く、両端の空白が目立ってしまうとも言えた。また、上の写真と下の写真の微妙な質感の違いを統一できず、結局イメージを一枚に減らしてもっとシンプルにした。

 

この一枚イメージはデザインし始めて最初の方に配置したものだが、この一枚で「都会」「散歩」「孤独」「無機質」といった今回のアルバムの要素を一通り表現できていると後から感じ、このアルバムのイメージに適していると思った。ちなみにこれらのイメージはinstagramで公開している物を流用して調整したものである。

 

「monoLR」のロゴは文字も含めて縦書きにしようとしたが、それをやろうとしたら文字まで縦に傾いてしまった。ただこのフォント(Bullheaded)で、「ヨロコロ」と読めるのが面白かったし、このフォントでmonoLRと見える、ということでこのまま採用した。修正後はもう少しわかりやすいように、monoの所を薄めて区別している。

 

裏ジャケットはUDLRの裏ジャケットと同じような曲リストとクレジットの表記で、一方でUDLRとは違う雰囲気の汎用性を意識した。例えば、UDLRなら背景にイメージを大きく見せたりするが、今回は表で使わなかったイメージを小さく再利用する程度に留めたり、簡素的ながら曲の長さも付記するなど。「独立不羈」にルビを入れることも考えたが、それを入れると「親切になりすぎてしまう」「漢字だけの記号性が損なわれる」と判断し、無機質感を優先する結果になった。

 

ディスク盤面のデザイン形態はこれまでのUDLRのCD同様、上半分にイメージ,下半分に曲表記とArial Blackフォントでアーティスト名と作品名、という構成。この辺はUDLR作品と同じレーベルという意味での統一感を意識している。ここでの「独立不羈」は「dokuritsu-fuki」という感じで読みの答えの表記にしようかと思ったが、それだけ長い名前になってしまってバランス的にややこしくなること,明朝体での表記が周りと意外と馴染んだことで、結局見送っている。

 

総評

UDLRの当時の最新作「Resistance」と似たイメージになってしまったが、それ以上に平坦で閉鎖的にすることで差別化を測った作品となった。UDLRアルバムよりも音数や展開や曲数を抑え、比較的気楽に作ったことで欠点が目立つ要素をあまり感じないので、その点は良かったと思う。一方で力みも少ないのでシンプルに収まり、隠れた魅力も少なくなっており、自分としても「スッキリまとまっている」以外でこの作品をアピールしにくい面もある。


実際の音けっとではこの作品とResistanceを比較された場面もあり、「ループ感が目立つ」と指摘されこっちの購入を見送られResistanceのみの購入となった場面もあった。もちろんその指摘自体が貴重なものだが。
ちなみに売り上げ自体はどちらも同じ枚数で落ち着き、半分以上はtwitter関係や学校関係の知り合いでその辺のやりとりも少し出来てありがたかった。

 

イベントから早くも一ヶ月を過ぎた現在ではUDLRの最新アルバムの制作などがメインとなり、この作品関連の記憶が意外と薄れつつある。そういう意味でこの作品の意義は「別名義での作品制作をやり遂げた」ことそのものになりそうだ。

 

ただ何回か書いている通り、この別名義ならではの閉鎖的な雰囲気やデザインは1枚目のこの時点でも十分表現できたと思うので、今後制作を追加するならその発展・拡張に努めていきたい。

 

(この作品は現時点でネット公開は予定しておらず、一方でCDの売れ残りはまだまだあるので、年に数回あるかどうかのCD販売の機会でしばらく出していくことになるだろう。)