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GameCD_music Database#1 「リッジレーサー」

GameCD_music Database   第一回「リッジレーサー

 

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Info

発売日 : 1994/12/3

メーカー : namco

作曲者 : 細江慎治 , 佐宗綾子 , 佐野信義.

 

 

TrackList

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CD再生時は必ず2曲目から行うこと

1曲目はゲームデータであり曲ではないので、再生機材の悪影響やノイズが出る恐れがある。iTunesでのCD取り込み時はこのようなゲームデータは無視してくれる。

 

 

初心者にオススメのゲームCD

初代PlayStationと同時の1994年末に発売されたレースゲーム。元々は前年にアーケードで出たレースゲームの移植で、音楽も1993年頃の制作と思われる。後のシリーズでもお馴染みになっていく、独特なテクノミュージックの第一弾となる。

 

「テクノミュージックが使われているゲーム」と書くと未来的な世界観とか淡々と進んでいくような展開とかを想像する方もいるかもしれないが、このリッジレーサー(PS時代)にはあまり当てはまらない。90年代前半のサウンドという事で、テクノというよりはむしろレイブやジュリアナといった単語で説明する方が近いかもしれない。そんな荒々しく活発的な曲調がメインとなっている。

 

サンプリングという手法を知らないと「これは誰が声を出しているのか」とか「どうやったらこんな変な声になるのか」と思うような声が多用されているのも特徴の一つ。レイブなどの電子音楽的には普通だろうが、ゲーム音楽的には90年代前半当時は珍しいものだったのではないのだろうか。

 

そういった要素が特に突出していると思う曲を個人的に挙げるならば、やはり「Rotterdam Nation」と「Speedster」だろうか。特に前者は全体の中でも「ロッテルダムテクノ」と呼ばれた独自的な存在であり、製作側も不安視していたであろうエピソードもwikiなどで見ることができる。

もちろんそれら以外でも、不気味な声ネタで始まるのが印象的で丁寧な勢いがある「Feeling Over」や、後のリッジシリーズで何度もアレンジされ続ける「Rare Hero」、テクノとは違う手法だがノリは共通の正統派ゲームミュージックRidge Racer」などもこのゲームの代表曲だろう。

 

僕がこのゲームを知ったきっかけは、テクノという音楽を知って色々なジャンルを見ていた時にロッテルダムテクノを知り、そのwikiの中で「リッジレーサーシリーズに使われたことがある」という記述を見たことである。ロッテルダムテクノを知ったのと同時に、「こんな音がゲームに使えるのか?」という感じの疑問を当時持ったと思う。そこからyoutubeニコニコ動画でゲームとサウンドを知って、レンタルCDでリッジレーサーズのサントラを借りたりPSソフトを買ったりなどでリッジレーサーに触れていった。

 

このソフトは後述の通り入手難度も低く、様々な意味の初心者にオススメであると言える。

  • 「PSなどのCDゲームソフトでCD的に音楽が再生できるのもある」と知って初めて買う方
  • リッジレーサーという独自的なサウンドに初めて知る方
  • 分かりやすいレイブ・90年代の電子サウンドに触れたい方
  • 全体の長さは40分程度で長くなく、初期ならではのコンパクト感で気軽に楽しめる。レース曲は6曲だがそれぞれ特徴的な要素・フレーズを持ち印象に残りやすく、ボリューム的には心地よい。

 

 

電子音楽度 : 中-強

全体的にはレイブ的サウンドが中心だが、最初の「Ridge Racer」やOP時の9曲目などフュージョン的なジャンルの曲もある。EDの13曲目はフュージョンとテクノ要素が混ざった曲になっている。

リズムは基本的に打ち込みで、レース曲ではサンプリングを混ぜて勢いを加えていると推測される。Sampling Mastersの曲の様にサンプルの勢いをうまく混ぜたものもあれば、「Rare Hero」の様に、よく聞くと実は荒々しい使い方などを聞くことができる。

前述したように声ネタも多用されており、hooverとして知られるレイブ音色、初期のThe Prodigyなどを思わせる(というかProdigyの曲と同じサンプルが使われた部分もいくらかある)曲調など、当時のレイブサウンドに近いもののようだ。

 

このように手法はテクノ的だが、繰り返し音楽と言うよりは意外と展開は多く、メロディや声ネタが主役な印象で、ロッテルダム以外はリズムに主役感はあまり感じない。だから僕は初代は「電子音楽」というよりは「電子音楽ゲームミュージック」という表現の方が近いだろうと考える。

 

PS最初のゲームということでテレビ音響を意識しているのか、全体的に低音を意図的に削って中高域が少し前に出ている感じのミックスに聴こえる。(「Rotterdam Nation」のキックや「Speedster」のベースなど低音が削られても低音の存在感が残っているのあるが。) この辺からも「電子音楽ゲームミュージック」を感じさせる。
ちなみに次回作「RIDGE RACER REVOLUTION」以降は仕上がりの表現力が上がったのか、テレビの音響でも問題ないと思ったのか、電子音楽らしいマスタリングが強化され、低音の迫力も上がっている。

 

 

CD構成

前半の6曲はいずれもレース時に使われるBGMで、サウンド的には本編とも言える。後に音楽CDとして出たサウンドトラックにも、これらの曲が主役の構成となっている。

それ以降はレース外で使われる、所謂「システムBGM」にあたる曲で、残念ながらサウンドトラックには多くが未収録。

 

レースの曲の長さは5分前後だが、基本的には2-3ループ的な構成で、「Rare Hero」と「Speedster」以外はフェードアウトで終了。ループなので、5分の曲として聴くと途中長いと思う時もあり、気になるのであれば途中でフェードアウトする編集をしてもいいかもしれない。

 

この記事を書くに当たって、自力で曲の構成を調べたメモを以下に。目安なので参考程度に。

DAW(シーケンサー)の都合か1ループの長さ(小節数)に制限があるようで、特にBPMが早い「Rotterdam Nation」はループ時間は比較的短く、5分前後のレース曲の長さの中でループ感がやや目立つ。

 

システムBGMはレース曲ほど単体で聴かれる頻度は少ないかもしれないが、個別で楽しんでみるとレース曲とは違った面白さを感じることができる。例えばOPでお馴染みの9曲目や似た内容の10曲目はSound Effect的な役割であり、OPなどプレイヤー側の操作が少ない「演出や音楽が主役なパート」と、プレイヤーが操作をする「ゲームプレイが主役なパート」では音楽の聴かせ方が違うことがわかる。なんとなく映像的なミックスの仕上がりで、アタック感も明瞭でドラムなども活発的で、その質感に多くの人が印象を残し、ゲームプレイにアクセントをつけるような仕上がりになっている。この辺のミックスの違いを考えるのもまた興味深い。

 

11曲目は2分あるが実質的には1分の曲で、後半は延々とループして突然ストップして終わるという、音楽CD的には欠陥と言える部分がある。おそらくゲーム内でフェードアウト処理するからだろうが、この辺も「音楽CDではない」ゲームCDならではか。気になる人はフェードアウト編集する必要があるが、個人的には次の曲が若干間抜けな印象で繋がり方が面白いので、あえてそのままで楽しんでいる。

 

 

入手難度 : 低

ブックオフなどの中古売り場でもほぼ毎回見かけ、いずれも安い値段であり、ネットでも安い値段が多いので、入手に手間はかからないだろう。ただし現在ではPSソフト自体の取り扱いが減っていることもあり、そういう意味では注意が必要で、いずれは入手難度も上がっていくかもしれない。

主なネット購入先

ソフト(amazon)

ソフト(楽天)

サントラ(amazon)

サントラ(楽天)

 

 

関連レビュー・紹介リンク

リッジレーサー - Wikipedia

リッジレーサー - みんなで決めるゲーム音楽ベスト100まとめwiki - アットウィキ

リッジレーサー - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ

http://gaming-gray.seesaa.net/article/421897141.html

http://codevis.nobody.jp/review-ps/ridge_racer.html

http://gmbanzai.blog.fc2.com/blog-entry-75.html

http://web2.nazca.co.jp/tukatan888/tuka-game5.htm

http://nijiiroleina.blog49.fc2.com/blog-entry-2280.html

http://d.hatena.ne.jp/KOMPOS/20160208/1454936419

http://www5f.biglobe.ne.jp/~hankotu/namco.htm

http://isouhanten.sakura.ne.jp/cs/namco.html